「魔法は便利だ。しかし本当の甘さは、手に入れるまでの苦さと、分かち合うことで生まれるのだよ。」

彼は見習い漁師。普通の村人として生きることを誇りに思っていた。しかし先月、古びた神社で拾った忘れ物がすべてを変えた。薄い金属の小箱――蓋を開けると、中には小さなルーンと、一枚の紙切れ。紙には走り書きでこうあった。

リョウはそれを胸に一言つぶやくと、畦道の向こうへ歩いていった。村は再び働き、笑い、時々誰かが小さな手作りのクッキーを差し入れてくれる。甘さは戻ったが、それはいつも以上に温かく、重みのあるものになっていた。

リョウは力を失った。瞳の黒い点は薄れ、代わりに静かな満足が残った。旅団長は頷き、老婆は微笑む。

「お主の菓子は甘いが、深く食らえば甘さは毒に変わる。――村人の“望み”だけを満たせば、彼らは自分で立ち向かう力を失う。」